08 紅をさし、ひっそりとたたずむ 道玄坂地蔵。
道玄坂地蔵は、宝永3(1706)年に現在の道玄坂上交番の辺りに建てられました。昔は豊沢地蔵といわれ、玉川街道と大山を結ぶ三十三番霊所の最初、一番霊所のお地蔵さんでした。しかし、第二次世界大戦の戦火に遭い、現在の場所に移されて「道玄坂地蔵」と名を改め、まちとそこに暮らす人々を見守っています。
昔の御本体は2度の火災で焼け崩れてしまいましたが、この地蔵の中に御本体を固めて、上に綺麗に化粧をしています。そのためか、火ぶせ地蔵とも云われています。このお地蔵様、いつの頃からか唇にいつも紅をさしているのは、かつての花街にあやかってのことと言われています。
ささやかな願いごとを優しく受け止めてくださるというお地蔵さま。この地域で暮らす人、働く人が日々訪れるお地蔵さま。そこにはいつも、美しい花々が供えられています。
 お地蔵さまを御参りするとき鉦や拍は、今も残る花街の片隅にひっそりと響いています。様変わりしてゆく渋谷のまちにあって、ここには異なる時間が流れています。

ガイド目次
01 神泉駅
02 カフェ・ド・ラ・フォンテーヌ
03 弘法湯石碑
04 金井青果
05 芸者階段
06 藤むら
07 裏渋谷通り
08 道玄坂地蔵
09 二つの料亭
10 ホテル街
11 国際的クラブWOMB
12 複合型ライブハウスShibuya O−Group
13 ミニシアター「ユーロスペース」
14 円山児童遊園地
15 国際文化理容美容専門学校
16 まちの元お米屋さん「円神米店」

「音で辿る円山町」は、青山学院大学総合文化政策学部鳥越研究室が2017年に企画編集した円山町を歩くためのガイドブックの内容を「音で辿る」ためのページです。「音」は徐々に増えていく予定ですのでお楽しみに!
まちミュージアムガイドブック東京都渋谷区神泉編
「渋谷の元」をさがして 古くて新しい神泉円山町を 歩くためのガイドブック
編集・執筆・イラスト:青山学院大学総合文化政策学部鳥越研究室
制作協力:つなぐNPO、渋谷区郷土写真保存会
発行:ACL青山コミュニティラボ(東京都渋谷区神宮前5-47-11青山学院アスタジオ2階)
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