03 花街誕生の元となった弘法湯跡に立つ石碑。


神泉谷には、その開湯伝説から「弘法湯」と呼ばれた共同浴場があり、江戸時代以降、富士山や大山を詣でる多くの人に利用されていました。明治に入り、その経営を引き継いだ佐藤豊蔵(豊さんのひいお爺様)が、弘法湯に料理旅館「神泉館」を併設し、それが花街円山町誕生の礎となりました。

「大山詣で」とは、江戸時代の人々に親しまれた「大山へ登る」山岳信仰。享保年間以降、幕末にけて江戸庶民のレジャーをかねた信仰となりました。富士山に比べて、気軽に登れる大山はとても人気がありました。江戸時代の後期、大山詣でや富士詣での行き帰りに多くの人々が、道玄坂上の吉田家(富士講の講元)にご挨拶に立ち寄ると共に、この場所にあった弘法湯で身を清め疲れを癒していたのです。



オーナーの佐藤豊さんが客たちと渋谷のまちについて語り合う声に、店の片隅に置かれた赤い公衆電話からも懐かしいベルの音がときおり加わります。
ガイド目次

01 神泉駅
02 カフェ・ド・ラ・フォンテーヌ
03 弘法湯石碑
04 金井青果
05 芸者階段
06 藤むら
07 裏渋谷通り
08 道玄坂地蔵
09 二つの料亭
10 ホテル街
11 国際的クラブWOMB
12 複合型ライブハウスShibuya O−Group
13 ミニシアター「ユーロスペース」
14 円山児童遊園地
15 国際文化理容美容専門学校
16 まちの元お米屋さん「円神米店」


「音で辿る円山町」は、青山学院大学総合文化政策学部鳥越研究室が2017年に企画編集した円山町を歩くためのガイドブックの内容を「音で辿る」ためのページです。「音」は徐々に増えていく予定ですのでお楽しみに!

まちミュージアムガイドブック東京都渋谷区神泉編
「渋谷の元」をさがして 古くて新しい神泉円山町を 歩くためのガイドブック
編集・執筆・イラスト:青山学院大学総合文化政策学部鳥越研究室
制作協力:つなぐNPO、渋谷区郷土写真保存会
発行:ACL青山コミュニティラボ(東京都渋谷区神宮前5-47-11青山学院アスタジオ2階)